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2009.03.21

第10回WOMマーケティング研究会の詳報です。

こんにちは。
WOMマーケティング協議会設立準備会世話人の細川一成です。
 
去る3月19日(木)に開催された第10回WOMマーケティング研究会についてお知らせいたします。
 

今回のテーマは「WOMマーケティングにおけるガイドラインを考える」。
協議会が設立された際に核となる事柄がテーマですので、議論の時間をたっぷりとりました。
 
会は、最初にいつものように太田滋さん(ビルコム株式会社)から設立準備会発足の経緯と今後の予定についての説明があり、続いて藤代裕之さん(エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社)から、ガイドライン策定までのプロセスについての説明が行われました。
ここでは、2名の学識経験者(江戸川大学・濱田逸郎先生、駒澤大学・山口浩先生)と2名の発起賛同人(メーリングリストにて公募)そして藤代さんの5名でガイドライン検討ワーキンググループを結成し、今回の第2部のワークショップで参加者から提出されたガイドライン案をまとめ、実際の策定作業に入ることが発表されました。
 
ここで、藤代さんが「心残りがあるままワークショップに入ることは避けたいので、質問を受け付けたい」と参加者に呼びかけると、会場からは様々な質問と意見が飛び出しました。「この段階でのガイドライン策定は性急すぎるのではないか?」「前々回、前回も議論をしたが、これをいつまで続けるのか?」という半ば相反するような意見が出されたところからも、このガイドライン策定という作業に対し、様々な思いと考えを抱いた方々に参加していただけたことがわかります。
また、「米国のクチコミマーケティング団体『WOMMA』がガイドラインを策定しているのだから、それをそのまま輸入すればよいのではないか?」という意見も出されました。これについては実際に自らのブログで、WOMMA策定ガイドラインの翻訳作業を行っている藤代さんは「WOMMAのガイドラインも絶対のものではなく、実際に今月新たに策定されたばかり。WOMMAでも絶えず議論しており、その時節、状況によって変更されている。日本でもこのように、状況に応じた議論とガイドライン策定が重要だと考えている」と回答。また、世話人のひとりである徳力基彦さん(アジャイルメディア・ネットワーク株式会社)からも、「WOMMA策定のガイドラインをそのまま輸入する方法も検討したが、状況に応じた議論が必要と考え、今回の議論に至った」という説明がありました。
 
その後、5分の休憩を挟んで、全員参加ワークショップ「WOMマーケティングにおけるガイドラインを考える」がスタートしました。
参加者が原則4名ずつのグループに分かれ、ガイドライン案の立案作業を行いました。
今回の参加には「あらかじめ自分なりのガイドライン案をつくっておく」という宿題が課されており、こちらを議論しながらまとめていくという作業になりました。
 
こちらの結果は速報にアップしたとおりなのですが、もう一度まとめさせていただきます。
 
《Aグループ》
1:
この団体に属する人は、下記のような行動指針に基づき行動します。
そもそもクチコミは消費者同士の自然なコミュニケーションです。クチコミマーケティングはそうした自然なコミュニケーションを生み出すことを尊重します。
2:
クチコミマーケティングに参加する私たちは、情報に対する責任感を持ちます。具体的には
・嘘をつきません
・本当に伝えたいことでない情報を伝えることはしません。させません。(コントロールの排除)
・情報に透明性を持たせます。情報の開示を行います。自分の立場を明確にします。
・社会全般に対する法令、常識を守ります。
・誹謗中傷、悪意のあるクチコミはしません。
3:
クチコミマーケティングに参加する私たちは、クチコミマーケティングに関わる消費者、企業、社会、すべての参加者がHappyになることをめざします。(WIN-WIN-WIN=共存共栄)
【補足】
ガイドラインではなく「行動指針」として作成。
 

《Bグループ》
口コミ主体者による、倫理バッヂ(仮)の明記
【補足】
<倫理バッヂについて>
①記事のタイプごとにレベル分けする
②レベルごとにバッヂ(ロゴマーク?)をつくる
③記事に張ってもらう
④読み手がレベルを自分で判断
<レベルについて>
・依頼がなくインセンティブがない自発的な記事
・依頼された記事(インセンティブなし)
・依頼された記事(レンタル)
・依頼された記事(サンプル)
・依頼された記事(お金)
・記事操作あり
・身内
 

《Cグループ》
1:
虚偽の発言をしない、させない
2:
過大な対価を提供しない
3:
公共の利益に反するクチコミをしない、させない

 
《Dグループ》
1:
嘘をつかない、つかせない
2:
隠さずLogを残す
3:
FLATであることを意識し、議論を続ける
【補足】
<前提として>
広告主、参加者、事業者、消費者、傍観者は三つのガイドラインを約束します

 
《Eグループ》
1:
キーワード:嘘
嘘を書くことを強制しない(そもそも嘘の情報を提供しない)
2:
キーワード:隠蔽
ネガティブな情報を隠さない (※被害を被るかもしれない情報を隠さない)
3:
キーワード:責任
責任は運営者側(情報を提供している側)にある (※ブロガー側ではない)
【補足】
ネットが前提である(可視化されたクチコミ)←仕掛ける側が守るべき基本ルール
 

《Fグループ》
1:
そもそもの「口コミ」の定義
・消費者間における自発的な推奨
・ネットだけではない!
2:
すべての「口コミ」における不健全性の定義
・情報の入手経路、利害関係の有無が隠されていること
・PPP広告の例示
3:
「口コミ」における情報開示ルール
・トラブル発生時の開示義務
・情報発信時の指針
・紛争解決の手続き
 

《Gグループ》
1:
誹謗中傷を行わない
2:
消費者が”広告””PR”とわかる表示を行う
3:
関連法令を遵守する
 

《Hグループ》
1:
主旨に賛同できる方は誰でも参加可能とする(企業、法人、団体、個人問わず)
2:
議事の決定については参加者による投票を必ず行う
【補足】
WOMJの姿勢として

 
《Iグループ》
1:
キャンペーンの表記義務(クチコミとクチコミマーケティングは違う)
2:
意見の規制はしない(賛否両論)
3:
謝礼金額の上限規制
一人あたり~
総額~
(WOM記事に対する評価→可視化)
【補足】
WOMJからの注意喚起
・消費者は賢い、バカではない。広告とウソはある程度、見抜ける
・しかし、初心者へは教育が必要 「ブログにはちょうちん記事もありますよ。気をつけてね」
 

《Jグループ》
1:
コンセンサス
情報の受け手が正常に判断できる付随情報を開示し、関係者(広告主、代理店、運営会社)間で共有し、合意を得る
2:
モラル
WOMの健全性を高めるために公共性に準じ、行動する
3:
リテラシー
WOM発信者及び情報の受け手に対して規範を開示し、リテラシーの向上を促す

 
様々なレベルの、様々なガイドライン案が出されました。
ガイドライン検討ワーキンググループではこれらのまとめはもちろん、これまでに出された様々な議論を総合してガイドラインの検討作業を行う予定です。
 
今回は議論の時間を長く取りたいという意向から、懇親会は設定せず、議論がまとまったグループから流れ解散という形をとりました。
すべてのグループの議論の終了は22時。
今回も本当にありがとうございました。
 
ガイドライン検討ワーキンググループの概要、スケジュール、応募方法については、このページで週明けに公表します。
是非ご応募ください。
 
設立準備会発足以来、発起賛同人の方や、研究会参加者の方にはたくさんのアイデアを出していただきました。本当に感謝しています。
ガイドラインに関する議論はここでひとまずの区切りを迎えますが、皆様からいただいたアイデアは必ずワーキンググループでの議論に反映させ、ひとつの形にします。
今後も引き続きよろしくお願いいたします。

 
※今回の研究会の模様がMarkeZineに掲載されました。
http://markezine.jp/article/detail/6905
是非ご覧ください。