- ① クチコミマーケティング業界の健全な発展のためには、情報発信者・情報受信者としてクチコミマーケティングを担う消費者を保護し、コミュニケーションの信頼性を損なう行為を排除すべきです。情報受信者には正しく情報を知る権利があります。情報発信者は、それを妨げてしまうと社会的信頼を失いかねません。虚偽やなりすましはもちろん、必要な情報を適切に明示しないことも、コミュニケーションの信頼性を損なう行為です。
- ② 知名度や影響力の大小に関わらず(著名人・芸能人であっても)、個人のアカウントでの情報発信の場合は「情報発信者(情報を発信する消費者)」とみなします
- ① 本ガイドラインは、日本国内の消費者を主な対象としているクチコミマーケティングに適用します。
- ② クチコミマーケティング協会の会員は、マーケティング主体・中間事業者・情報発信者いずれの立場でクチコミマーケティングに関与する場合においても、自身が関わる範囲では本ガイドラインを遵守しなければなりません。例えばWOMJ会員ではない企業から、WOMJ会員が中間事業者としてクチコミマーケティング業務を委託された場合でも、一連のクチコミマーケティングはWOMJガイドラインを遵守したものでなければなりません。
- ③ クチコミマーケティングとは、オンライン・オフラインを問わず、消費者間のコミュニケーションをマーケティングに活用することですが、本ガイドラインの適用範囲はオンラインのクチコミマーケティング(消費者がオンラインで発信する情報を、消費者がオンラインで受信するクチコミマーケティング)です。オンラインとは、ブログやソーシャルメディアだけでなく、掲示板サイト、ECサイト、アプリストアなど、消費者が投票したりコメントしたりできるメディアも含みます。また、文字・写真・画像・音声・映像など、表現の形態は問いません。
- ④ 自社の社員が自社や関連会社・取引先の事業などについて個人のSNSアカウントから発信する情報は、本ガイドラインの適用範囲に含まれます。
- ⑤ 情報発信者に対してオフラインで何らかの働きかけを行う場合でも、消費者同士の情報の受発信がオンラインで行われる場合は、本ガイドラインの適用範囲に含まれます。
- ⑥ ウェブ媒体の編集記事、自社媒体(ウェブサイト、オウンドメディア)、自社のSNSアカウントでの投稿などは、情報発信者が「消費者」では無いため、クチコミマーケティングには含まれず、本ガイドラインの適用範囲ではありません。
- ⑦ 本ガイドラインは、本ガイドラインの施行日以降に情報受信者が情報を受信しうるクチコミマーケティングに適用します。
- ① マーケティング主体の定義
「マーケティング主体」とは、一連のクチコミマーケティングを主催する企業や団体をいいます。一般的に、広告主や媒体社などであり、消費者からの問い合わせに対して主体として回答する立場にある企業や団体とします。 - ② 中間事業者の扱い
情報発信者に対する金銭・物品・サービスなどの提供者が誰であっても、関係性はマーケティング主体と情報発信者の間に発生するとします。クチコミマーケティングの業務を受託する中間事業者(主催者に含まれている場合を除く)は、マーケティング主体ではありません。 例えば、マーケティング主体であるA社から依頼を受けたB社が情報発信者C氏に重要な金銭提供を行う場合、C氏に直接接触するのはB社であっても、関係性はA社とC氏の間にあると考えます。関係性明示の際は、主体の明示ではA社が明示されなければなりません(B社を明示する必要はありません)。
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【解説】
- アのaからdのいずれか一つにでも当てはまる場合には「関係性がある」とします。以下に、aからdの個々の判断基準を示します。
③ ア 関係性の有無の判断基準
- 1. 提供の目的
マーケティング主体と情報発信者との間に「関係性がある」といえるためには、金銭・物品・サービスなどの提供の目的がクチコミマーケティング(消費者間コミュニケーションのマーケティング活用)であることが必要です。情報発信者に対して金銭・物品・サービスなどの提供を行う場合でも、クチコミマーケティングが目的ではない場合には、「関係性がある」とは判断せず、関係性明示をする必要はありません。例えば、次のような場合はクチコミマーケティングが目的ではない物品等の提供であり、「関係性がある」とは判断せず、関係性明示は不要です。 - 2. 金銭・物品・サービスなどの範囲
情報発信者に提供する「金銭・物品・サービスなど」には、次のものを含みます。・商品券、電子マネー、会員専用ポイントその他の有価証券
・商品購入時の値引きや割引クーポン券
・イベントへの招待、イベントに参加できる特典
・その他、経済上の利益と考えられるもの
- 3. 「重要」な金銭・物品・サービスなどの提供
マーケティング主体と情報発信者との間に「関係性がある」といえるためには、提供する金銭・物品・サービスなどが「重要」であることが必要です。情報発信者に対して提供する金銭・物品・サービスなどが「重要」とはいえない場合、「関係性がある」とは判断せず、関係性明示は不要です。「重要」となるのは次のいずれかに当てはまる場合です。A) 金銭・物品・サービスなどの「提供の有無」により、情報発信者から発せられる情報に有意な差異が生じると考えられる場合。
B) 金銭・物品・サービスなどの提供という「関係内容の明示の有無」により、情報受信者の認識や行動に有意な差異が生じると考えられる場合。
・商品やサービスの試用そのものを目的とする、試供品やお試し券の提供
・懸賞当選者への景品提供
- 4. 情報内容の決定に関与する場合
マーケティング主体または中間事業者が情報発信者の発信する情報内容の決定に関与する場合には、「関係性がある」とします。次のような場合は「情報内容の決定に関与する場合」と判断します。・発信する情報内容について情報発信者に明示的な依頼・指示をする場合
・発信する情報内容について情報発信者に対して明示的な依頼・指示はなくとも、それに準ずると客観的に判断できる言動や行為により、情報発信者がマーケティング主体の商品やサービスに関する情報を発信する場合
・発信する情報内容について情報発信者に対して明示的な依頼・指示はなくとも、マーケティング主体が情報発信者に情報を発信することを依頼しつつ、マーケティング主体の商品やサービスを情報発信者に無償で提供し、その提供を受けた情報発信者が当該マーケティング主体の期待・意図する方針に沿う情報内容を発信する場合
- 5. 懸賞・キャンペーン応募のためのハッシュタグや、投稿内容の指定
懸賞・キャンペーン応募のためのハッシュタグ指定だけであれば、「関係性がある」とはしません。しかしながら、情報受信者の正しく情報を知る権利を尊重する観点から、懸賞やキャンペーン応募の際には、応募者にはハッシュタグ等の方法でマーケティング主体を明示させ、かつ「○○キャンペーン」「○○プレゼント」「○○コンテスト」など、「情報発信者が懸賞やキャンペーンに応募していること」が情報受信者に明瞭に伝わるような表記をさせることを推奨します。
一方で、マーケティング主体の商品・サービスの内容や取引条件に関する情報内容を指定する場合や、応募者識別以外の目的と考えられるハッシュタグを指定する場合は、「情報内容の決定に関与した」と判断されることがあります。また、その内容によっては法令等に抵触する可能性もあります。例:情報内容の決定に関与したと判断され、また法令等にも抵触する可能性があるハッシュタグ
・#私は食品Aが世界一大好き!!⇒商品の内容に関する情報発信者の主観的な感想を強制的に発信させている。
・#化粧品Aでシミが全部消えた!⇒薬機法や景品表示法に抵触するような内容
・#今期売上No1サプリメント⇒十分なエビデンスが無ければ訴求できない最上級表現 -
また、懸賞・キャンペーンの応募の条件として「自由に感想を書いて投稿してもらう」ことや、「予め設定した選択肢から選んで投稿してもらう」ことも直ちに「関係性がある」とは判断しません。しかし、「本来ならば情報発信者の主観的な感想に当たること」や「法令等に抵触するような内容」などを選択させたり、誘導したりするような場合には、「情報内容の決定に関与した」として、「関係性がある」と判断されることもあります。
例:情報内容の決定に関与したと判断され、また法令等にも抵触する可能性がある応募条件
・「この商品の一番優れているところをあなたの言葉で100文字以内で投稿してください
⇒本来十分なエビデンスが必要な表現を、詳細な条件無しに依頼・指示している。
・「この商品であなたが一番好きなところを、以下の選択肢から選んで投稿してください」
A効能効果がとんでもない
B広告のセンスが良い
C最高のコスパ
D多分国産だから
⇒個々の選択肢が「情報発信者の主観的な感想」と乖離している可能性が高く、他の選択肢も与えられていない。
- 6. マーケティング主体と情報発信者の「係わり」
マーケティング主体または中間事業者と、情報発信者との間に次のような「係わり」があれば、情報発信者の自主的な意志による情報内容とは客観的に認められないため、「関係性がある」とします。・雇用契約、販売代理店契約、業務委託契約などの契約関係
・業務の受発注などの取引関係
・その他、マーケティング主体や中間事業者が、情報発信者の発信する情報内容や情報を発信することそのものに影響を与えられる関係にある場合
- なお、これらの「係わり」は情報発信の時点では解消されていたとしても、過去に一定期間上記のような関係があった場合や、今後「係わり」が始まることが決まっている場合(今後「係わり」が実現する可能性を想起させる場合なども含みます)も、「係わり」があると判断します。
- 7. 自身の所属する組織
「自身の所属する組織」には、次のものも含みます。・自身の所属する会社のグループ会社・関連会社など
・自身の所属する組織の関連組織など
- 8. 利害関係にある組織
「利害関係にある組織」には、次のものも含みます。・取引関係のある企業・団体など
-
【解説】
- 1. 関係性明示義務
アのいずれか一つにでも当てはまる場合、情報発信者とマーケティング主体との間には「関係性がある」とされるため、マーケティング主体および中間事業者は、情報発信者にウの方法に従った関係性明示をさせなければなりません。 - 2. 関係性明示義務の例外
アのいずれか一つに当てはまり、「関係性がある」とされる場合であっても、クチコミマーケティングのターゲット層である情報受信者にマーケティング主体と情報発信者との間に「関係性がある」ことが十分に認知されているなど、「関係性がある」ことが情報受信者にとって社会通念上明らかである場合には、関係性明示を省略することを許容します。もっとも、情報受信者の正しく情報を知る権利を尊重する観点から、関係性明示を行うことを推奨します。例:「関係性がある」ことが情報受信者にとって社会通念上明らかといえる場合(関係性明示の省略を許容する)
・マーケティング主体のCMに出演していることに十分な認知があるタレント・著名人
・マーケティング主体であるスポンサー企業との関係が十分に認知さているアスリート
・マーケティング主体である自治体等の「観光大使」に任命され、十分な活動実績がある人物例:「関係性がある」ことが情報受信者にとって社会通念上明らかとはいえない場合(関係性明示が必要)
・マーケティング主体の公式SNSで一度だけ写真が紹介されたが、アンバサダーや広告契約などの実態には言及されていない人物
・広告やイベント出演などの実績が殆どなく、関係性が十分には認知されていない人物
・著名人が「実は声だけ出演している」など、関係性の周知が十分ではない場合
④ イ 関係性明示義務
-
【解説】
- 1. マーケティング主体の名称表記
マーケティング主体の名称表記は、企業や団体の正式名称、またはその通称や略称を推奨しますが、それ以外の表記も次のとおり許容します。<推奨>A 企業や団体の正式名称
B 企業や団体の通称・略称
<許容>C 商品・サービスのブランド名(略称可)
D 上記のABCとは異なる「仮の組織・団体名」
ただし、Dは情報受信者が容易に理解できる表記方法とは断定できないため、次の①から③の条件のすべてを満たす必要がある。 ① 「仮の組織・団体名」が組織・団体の名称だと容易に判断できる。(例:「**委員会」「**研究会」「**クラブ」は可、「**女子」「**大辞典」は不可) ② 「仮の組織・団体名」で検索すれば、その公式ウェブサイトや公式アカウントが容易に見つかる。 ③ ②の公式ウェブサイトや公式アカウントに、ABCのいずれかが明記されている。E 上記のABCDが含まれるキャンペーン名やキャッチコピー
- 2. ティーザー施策の主体表記の特例
ティーザー型キャンペーンでは、ティーザー期間中に限り、マーケティング主体の名称としてキャンペーン名や一時的な仮の名称の使用を認めます。ただし、ティーザー期間終了後は、本来のマーケティング主体の名称を明示しなければなりません。また、ティーザー期間中は、キャンペーン名や一時的な仮の名称のもとで、情報受信者からの問い合わせに対応できる機能を持たなければなりません。- 3. マーケティング主体が複数の場合
複数のマーケティング主体が存在する場合、明示するマーケティング主体は、クチコミマーケティングの実態に即して選択できるものとします。- 4. 関係内容の明示方法
(1) 「関係内容の明示」の方法として、次の「関係タグ」の使用を認めます。
関係タグ:
#プロモーション、#PR、#宣伝、#広告
※「#PR」は、パブリックリレーションズと混同のおそれはあるものの現状のクチコミマーケティングの実態に鑑み使用を許容します。
※上記以外の関係タグの使用は認めません。
※「#AD」「#pr」「#Promotion」などの英語表記・小文字表記は推奨しません。(2) 関係タグを用いる場合にもマーケティング主体の明示は別途必要です。
マーケティング主体の明示をハッシュタグで行う場合には、関係タグを先に記載してください。
なお、関係タグとマーケティング主体の名称を組み合わせて一つのハッシュタグにまとめることは認めません。
正しい例:
#PR #A社
正しくない例:
#A社 #PR、#A社PR、#PR A社(3) 複数のハッシュタグとともに関係タグを用いる場合、関係タグは必ず先頭に記載してください。
(4) 関係タグは「#PR」のようなハッシュタグでなく、【PR】のように表記することも認めます。
(5) 関係タグを用いずとも、マーケティング主体と情報発信者の具体的な関係の内容を明瞭に記載することも許容します。
例:○○○はマーケティング主体名
○○○のプロモーションに参加しています。
○○○の商品モニターに協力中です。
○○○から謝礼をいただいて投稿しています。
○○○から商品提供をいただきました。
○○○から献本いただきました。
○○○主催のイベントに招待されました。
○○○のPR案件としての投稿です。
私は○○○の社員です。
○○○でこの商品の販促を担当しています。
○○○の広告制作を担当しています。
○○○の広告に出演しています。(6) 次のような表記は、マーケティング主体と情報発信者の関係の内容が十分に理解できない(あるいは理解できない可能性が高い)ため原則として認めません。ただし、その表記が当該クチコミマーケティングのターゲット層に十分な認知がある場合に限り、例外的に使用を許容します。
例:
○○○はマーケティング主体名
○○○とのタイアップです。
○○○とのコラボレーション(コラボ)です。
○○○の案件です。
「#タイアップ」「#コラボ」など、関係タグのようなハッシュタグのみでの記載は許容しません。 - 2. ティーザー施策の主体表記の特例
⑤ ウ 関係性明示の方法
- 5. 明瞭な関係性明示
関係性明示は、情報受信者が容易に認識かつ理解できる明瞭な表示方法で行わなければなりません。
関係性明示は、情報受信者に容易に理解できる方法であれば、文字・写真・画像・音声・映像など、表現の形態は問いません。例えば、マーケティング主体の名称表記として企業名を文字で記載する代わりに企業名入りのロゴ画像を掲載することができます。明瞭な方法の例:
・SNSプラットフォームの関係性明示機能を使用する(ブランドコンテンツタグなど)。
・動画の場合(概要欄など動画の外でなく)動画内かつ冒頭で行う。
・実況中継など長時間の動画では、冒頭だけでなく一定時間ごと(目安として15分に一度程度)に関係性明示を行う。不明瞭な方法の例:
・大量のハッシュタグの中に関係タグが埋もれている。
・長文の本文の末尾・長時間の動画の最後などで表示して、視認しにくい。
・SNS等の投稿で、長文が折りたたまれておりクリックしなければ見えない部分に表示する。
・SNS等の投稿で、最初の投稿ではなく、リプライやコメント欄で表示する。
・関係タグを周囲の文字より小さく表示する。
・関係タグを周囲の文字より薄い色とする。
・動画の概要欄のみで行い、動画内には何らの表示もない。
・プロフィール欄にのみ記載し、個別の投稿を見るだけでは関係の内容がわからない。
・投稿内にはリンク先URLが記載され、リンク先にいけば関係の内容がわかるが、投稿だけ見ても関係の内容がわからない。
・「#広告」という関係タグを使用しているにも関わらず、投稿内で「広告ではありません」と記述するなど、関係性があるのかないのかまぎらわしい。- 6. プラットフォームのルールの尊重
関係性明示について、ソーシャルメディアのプラットフォームに独自にルールがある場合は、それに従うことを推奨します。ただし、プラットフォームのルールが本ガイドラインの関係性明示と比べて不十分、あるいは不明瞭な場合には、プラットフォームのルール以上の関係性明示を行う必要があります。例えば、プラットフォームのルールでは「主体の明示」が不要とされている場合にも、「主体の明示」は行う必要があります。- 7. アフィリエイト
情報発信者の発信する情報にアフィリエイトが含まれる場合は、本ガイドラインだけでなく景品表示法などの各種法令等、および業界団体のアフィリエイトに関するガイドラインも遵守してください。 - 6. プラットフォームのルールの尊重
-
【解説】
- ① いいね!やフォローなどの投票行動に対価を支払い、評価を不正に操作すること
- ② 動画の再生回数など閲覧行動を、自動プログラムや人為的な反復により不正に操作すること
- ③ 口コミサイトなどで、虚偽の推奨コメント(または批判コメント)を投稿したり、実態のない評価を意図的に作り上げたりすること
- ④ 消費者から発信された情報を改ざんすること
- ⑤ マーケティング主体の競合相手の評判をおとしめること
- ⑥ その他、明らかに情報受信者をあざむく行為とWOMJガイドライン委員会が定めるもの
次のような行為は「クチコミマーケティングにおける偽装行為」に該当します。
-
【解説】
(違反への対応)WOMJ会員が本ガイドラインに違反した場合、もしくは違反の疑いがある場合、WOMJ運営委員会はWOMJ会員規約に基づいて会員の処分を検討します。また、違反(裁量範囲を超えた判断を含む)の疑いについて、WOMJ会員はWOMJ運営委員会から質問があれば回答しなければなりません。WOMJ運営委員会はその回答を他の会員に開示できるものとします。